たくさん笑えて少し切ない「シコふんじゃった。」

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青春スポ根コメディの傑作

ここ10年国内では、邦画の公開本数、興行成績ともに洋画を上回っており、邦画全盛の時代とも言われています。

よく理由に挙げられるのは、シネコンの増加やDVD販売による売り上げ拡大、テレビを利用した広告戦略など。

アニメ作品が好調なのも大きな要因のひとつですが、洋画が相対的に売れなくなっていることもあります。

ハリウッド映画全盛の時代には、邦画は衰退してしまうと危惧されていたのが、ここまで復活したのは喜ばしい限りです。

そんな邦画不遇の時代を支えた映画監督の一人、周防正行監督の名作青春コメディ「シコふんじゃった。」を紹介します。

 日本アカデミー賞などタイトルを総なめ

「シコふんじゃった。」は1992年に公開された劇場作品で、相撲を題材にした青春スポ根コメディです。監督は「shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行監督。

主演は「おくりびと」の本木雅弘さん、他にも竹中直人さん、柄本明さんなど豪華なメンバーが出演。

日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ、他にもブルーリボン賞などこの年の映画賞を総なめした作品です。

本木雅弘さんが演じる主人公秋平は、大学卒業の為、単位と引き換えに弱小相撲部に助っ人として試合への出場。

最初は一度だけの約束だったはずが、負けた悔しさもありつい勢いで口を滑らせて、引き続き相撲部に残る流れとなり、仲間達と一緒に大会での勝利を目指していくことに…。

日常風景に少しだけありえない話

どこにでもある大学の何の変哲もないキャンパス風景を舞台に、ストーリーが展開されていきます。

そんなありきたりの日常の風景の中に、少しだけ非日常的なありえない話が練り込まれ、軽快でテンポのよいコメディが繰り広げられていきます。

普通だと「そんなの、ありえない」と思えるような荒唐無稽で馬鹿馬鹿しい話を、興ざめにならないような絶妙なバランスで淡々と語り、観客を笑わせ作品の世界に引き込んでいきます。

そうそうたる顔ぶれの俳優さんが出演されていますが、中でもとりわけ存在感を放っているのが竹中直人さん。

相撲が好きで知識も豊富だが、今まで一度も勝ったことがない弱小相撲部員を、竹中節全開で演じておられます。

圧倒的な存在感のある竹中さんの演技ですが、この作品のもつ空気感、雰囲気と非常にマッチしていて、コミカルな演技でおもいきり笑わせてくれます。

周防正行監督作品の名作コメディ

王道のスポ根話を軸として軽妙なテンポのコメディタッチで描かれる、幅広い年代にお勧めの青春ストーリーです。

また、どこか懐かしい雰囲気が漂いノスタルジックで少し物悲しさを感じさせる作品でもあります。

一生懸命だからこそ、悔しかったり、必死だからこそ、すこし滑稽であったり。劇中で「悲しくてやりきれない」の歌が流れるシーンでは心揺さぶられるものがあります。

爽やかさと同時に少し哀しさも含んだ独特の空気感が心地よい作品です。

少し古い作品ですが、観た後にきっと「日本映画っていいな」と感じられる、お勧めの作品です。

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