3大キャリアが取り扱うミリ波対応機種、sub6対応機種
5G通信は基本的に「sub6(3.7GHz帯及び4.5GHz帯)」と「ミリ波(28GHz帯)」と呼ばれる周波数帯が利用されます。
ただミリ波(28GHz帯)はその特性からエリア展開などに時間がかかることもあり、昨年日本国内で発売されたiPhone 12シリーズでは、5G通信は「sub6」のみに対応しています。※1
日本では5Gエリアもまだ狭く比較的広いエリアをカバーできる「sub6」から5Gエリアの拡大が進むと考えられており、現時点でのミリ波対応を見送ったようです。※2
そのため現在3大キャリアで販売されている5G対応スマートフォンのなかで、ミリ波に対応しているのは、サムスンと富士通の製品に限られます。
※1 アメリカで販売されるiPhone 12シリーズはミリ波対応
※2「ミリ波」のほうがより高速で大容量の通信が可能なのですが、電波が届きづらい(エリアが狭い)特性があります
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ミリ波とsub6の違い
日本の携帯電話の5Gサービスは主にミリ波、sub6、4G(転用)と3つの周波数帯が利用されます。
それぞれに電波の届きやすさ(範囲の広さ)と通信速度で一長一短の特徴があります。
5Gの周波数帯による特徴
利用する周波数帯 | 通信速度 | エリア |
ミリ波 | sub6より高速 | sub6より範囲が狭い |
sub6 | 4Gに比べ高速 | 4Gより範囲が狭い |
4G周波数帯の5G転用 | 4G周波数並 | 範囲が広い |
ミリ波は一番高速なデータ通信が可能ですが、その反面電波が遠くまで届きにくい(エリアが狭くなる)特性があります。
そのため現状ミリ波が利用できるエリアは特定の施設内など、スポット的な狭い場所に限定されています。
ミリ波対応機種、sub6対応機種
現在3大キャリアが販売する5G端末の「sub6」「ミリ波」対応状況は以下の通りです。
※下記は2021年01月31日時点で取り扱われている機種です。
iPhone(3キャリア共通)
機種名 | メーカー | sub6 | ミリ波 |
iPhone 12シリーズ(日本国内版) | Apple | 〇 | – |
ドコモ
ドコモのミリ波に対応した機種は、富士通のarrows 5GとサムスンのGalaxy S20+ 5Gの2機種です。
機種名 | 型番 | メーカー | sub6 | ミリ波 |
arrows 5G | F-51A | 富士通 | 〇 | 〇 |
arrows NX9 | F-52A | 富士通 | 〇 | – |
Galaxy Note20 Ultra 5G | SC-53A | Samsung | 〇 | 〇 |
Galaxy S20+ 5G | SC-52A | Samsung | 〇 | 〇 |
Galaxy S20 5G | SC-51A | Samsung | 〇 | – |
Galaxy A51 5G | SC-54A | Samsung | 〇 | – |
AQUOS R5G | SH-51A | シャープ | 〇 | – |
AQUOS sense5G | SH-53A | シャープ | 〇 | – |
Xperia 1 II | SO-51A | ソニー | 〇 | – |
Xperia 5 II | SO-52A | ソニー | 〇 | – |
LG V60 ThinQ 5G | L-51A | LG | 〇 | – |
LG VELVET | L-52A | LG | 〇 | – |
au
auはサムスンのGalaxyシリーズでミリ波に対応しています。
機種名 | 型番 | メーカー | sub6 | ミリ波 |
Google Pixel 5 | 〇 | – | ||
Xperia 5 II | SOG02 | ソニー | 〇 | – |
Xperia 1 II | SOG01 | ソニー | 〇 | – |
Galaxy Note20 Ultra 5G | SCG06 | Samsung | 〇 | 〇 |
Galaxy S20 Ultra 5G | SCG03 | Samsung | 〇 | 〇 |
Galaxy S20+ 5G | SCG02 | Samsung | 〇 | 〇 |
Galaxy S20 5G | SCG01 | Samsung | 〇 | – |
Galaxy A51 5G | SCG07 | Samsung | 〇 | – |
Galaxy Z Fold2 5G | SCG05 | Samsung | 〇 | – |
Galaxy Z Flib 5G | SCG04 | Samsung | 〇 | – |
AQUOS zero5G basic DX | SHG02 | シャープ | 〇 | – |
AQUOS R5G | SHG01 | シャープ | 〇 | – |
OPPO Find X2 Pro | OPG01 | OPPO | 〇 | – |
Mi 10 Lite 5G | XIG01 | Xiaomi | 〇 | – |
ZTE a1 | ZTG01 | ZTE | 〇 | – |
ソフトバンク
現在ソフトバンクでは、ミリ波に対応した機種は販売されていません。
機種名 | メーカー | sub6 | ミリ波 |
Google Pixel 5 | 〇 | – | |
Google Pixel 4a | 〇 | – | |
Xperia 5 II | ソニー | 〇 | – |
AQUOS zero5G basic | シャープ | 〇 | – |
AQUOS R5G | シャープ | 〇 | – |
AQUOS sense5G | シャープ | 〇 | – |
ZTE Axon 10 Pro 5G | ZTE | 〇 | – |
LG V60 ThinQ 5G | LG | 〇 | – |
OPPO Reno3 5G | OPPO | 〇 | – |
4G周波数の5G転用とは
5Gで用いられる周波数は従来の4Gより電波が届きづらい特性があって、エリアを拡げるには時間がかかり現状では一部の限られた地域しか5G通信を利用できません。
そういった状況を打破する対策として、最近話題になっているのが4G周波数の5G転用です。
周波数の転用には「DSS(ダイナミックスペクトラムシェアリング)」という仕組みを用い、メリットとしては4G並の広範囲のエリアをカバーでき、5Gの特徴の一つである低遅延を実現できるとされています。
ただしあくまで4Gの周波数を利用するため、通信速度が4Gとそれほど変わらない(「sub6」「ミリ波」ほど速度がでない)ことが予想されます。
そのため総務省は利用者に有利誤認を招かないよう事業者(キャリア)には、通信速度が把握できるようエリアの明示(sub6、ミリ波、4G周波数の5G)などを求めています。
5Gエリアの拡がり次第
まだ現時点で5Gエリアは一部に限られますが、リリースされるスマートフォンの多くが5G対応端末になってきています。
今後機種変更などで5G端末を購入するときに、先を見据えて「ミリ波」対応端末という考え方もありますが、5Gエリア(特にミリ波)がどの程度のスピードで拡大するか予測できないので、正直何とも言えないところです。
個人的には自分が利用する場所がミリ波対応エリアでない限り、現時点ではそれほど気にする機能ではないと思っています。
ただ今後予定される5G対応エリアの拡がりと共に、sub6、ミリ波、4G周波数の転用といった言葉を目にする機会が増えると思います。
細かいところまでこれらの用語を理解する必要はないですが、一口に5Gと言ってもいくつか種類があるといった点だけ、ぜひ抑えておいてください。
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