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初心者の流し撮り挑戦
写真の撮影方法のひとつに「流し撮り」というテクニックがあります。動いている被写体に合わせてカメラを動かして撮影し、わざと背景だけをぶれさせることで動きを表現する方法で、電車や車の撮影などでよく用いられます。
撮影に成功すると雑誌で見かけるような「いかにも」といった写真が出来上がるのですが、少しコツや慣れ予備知識が必要で、わたしのようなカメラ初心者にとっては、少しハードルが上がる撮影方法です。
ですがせっかくカメラをやっているなら、自分でもスピード感のあるカッコイイ写真を撮れるようになりたい。少しでも撮影スキルアップをアップさせたい。インスタグラムで「いいね!」をたくさんもらいたい。(まだアカウントも持ってないですが)
それに何かのきっかけで、明日からモータージャーナリストとしてヨーロッパに行くこととなり、取材のため時速300キロを超えるレースカーの撮影することになるかもしれない。誰にも100パーセント無いとは言い切れません。世の中はワンダーにあふれています。
そんないざというときの為に、流し撮りに挑戦してみました。
撮影機材
- ニコン D5500
- AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR 2
下調べと設定値
はじめての流し撮り挑戦なので、撮影方法を初心者向けの撮影テクニック本やネットなどで検索をかけて下準備。いろいろ調べた結果、まずは以下の設定値、方針で流し撮りに挑戦しました。
シャッタースピード 1/15秒から1/30秒(遅めのシャッタースピードで背景をブレさせる)
オートフォーカスのモードはAF-C(被写体を追尾してフォーカスを合わせるモード)
手ぶれ補正機能OFF(ブレを起こしやすくする※)
連写で5枚撮影してピントがあったものをピックアップ
※後から知ったのですがニコンのVRレンズは「流し撮り検知」機能があるので、手ぶれ補正をOFFにしなくても流し撮りはできます。
場所は山間にある二車線の一般道、峠を走行している乗用車を撮影。
車の音が近づいて来たらカメラを構えファインダー上で被写体を追いながら、車体がだいたい真横になるタイミングで連写。道路脇の山道から、被写体との距離が数メートルの位置で撮影をしました。
被写体ブレ写真の量産
以下はそのときの撮影データの一部です。
とりあえず連写しておけば一枚くらいは綺麗に撮れるだろうと甘く考えていたのが大失敗。撮っても、撮っても被写体にピントがバッチリあった写真が撮れない。
カメラの液晶画面で確認したときは「いけたかな?」と思っていた写真も、あとでPCで確認するとピントが甘かったり上下ぶれでホイールが歪んで写っていたり。
結局、200枚以上撮影(連写で数枚づつ撮っているので台数としては50台くらい)したのですが、被写体が綺麗に止まって写せたと思ったのはおまけも含めて3、4枚。
被写体台数の10%にも満たない成功率(枚数換算だと2%)という無残な結果におわりました。
敗因は何だったのか
この成功率じゃさすがに悔しいので、もう一度撮影データを見返して自分なりに敗因を分析。まず失敗の原因として最初に頭に浮かんだのはシャッタースピード。流し撮りに慣れてないのにシャッタースピードが速すぎたのではないか。(1/15秒から1/30秒)は慣れた人や上級者向けの設定値かもしれない。
あとファインダー上で車を捉えている(見ている)時間が2、3秒と短く、車とカメラの動きの同期がちゃんとできていなかったのではないか。それにオートフォーカスと連写に頼りすぎて、シャッタータイミングもカメラを振る動きも雑になってしまった。
このあたりが今回の低い成功率の原因に繋がったのではないかと考えました。
日を改めて、再び挑戦
自分なりの分析を踏まえたうえで、とりあえず今度は
撮影場所を見通しのよい広い道路へと変更、前回よりも早い段階からカメラを構えファインダー上で被写体を捉える時間を増やし(約5秒)、車とカメラの動きの同期精度を上げる
カメラをできるだけ水平に振るために、身体全体を使って被写体を追う
シャッタースピードを少し早め(1/60秒)に上げ被写体をブレを防ぐことを優先
オートフォーカスはOFF、マニュアルフォーカスで車体が真横になるポイントにフォーカスを固定(置きピン)
シャッターを押すのは置きピンした場所だけ、車体が真横に来たタイミングで一枚だけ撮影
以上の作戦で後日、流し撮りに再挑戦しました。今回は特にカメラと被写体の動きの同期に神経を集中し、ファインダーで被写体を追い続ける5秒間、常に運転手が画面の中心からズレないよう心がけました。
その結果、今回は約50枚撮影(台数約50台)で、そのうち成功が13枚(車体にピントが合い、ホイールがきれいな円形になっているかを基準)。
結果として成功率約25%にまでアップ。打率換算すると260。守備や足で貢献できるなら7番またはベンチ入りメンバーくらいには抜擢されるレベルまで上がりました。
ただし背景が流れにくくなる
確かに今回の設定で被写体にピントが合う確率がアップしたのですが、今度はまた新たな課題も見えてきました。
それはシャッタースピードを上げる(速くする)と被写体が止まりやすく(ブレずにハッキリ写る)ようになる代わりに、逆に背景が流れにくく(ブレにくく)なる点です。
はじめて流し撮りした際の写真は車にピントが合っていませんが、背景だけを比べて見ると、よりスピード感のある写真になっています。
このあたりは被写体とカメラの動きをいかに同期させ遅いシャッタースピードでも被写体がブレないようにするのか、作戦を考えていかなければならないところです。
ピントが合うようになると、一気に楽しくなる
今のところ成功率はまだまだ低く失敗も多いですが、一応わたしも下手ながら、流し撮りができるようになりました。
ピントが合う確率が上がりだすと撮影が一気に楽しくなります。興味があるかたは、ぜひ一度挑戦してみてください。
今後、車に限らず人や動物など動く被写体の撮影を頼まれたときには、己(おのれ)の承認欲求を満たす為(「写真、上手ですね」と相手に言わせ「いやぁ、コツさえ知っていれば誰でも撮れるよ」と上から目線で答える為)積極的に流し撮りに挑戦していきたいと思います。
ただ時速300キロを超えるようなモータースポーツを撮る自信はまだないので、とりあえず運動会のかけっこレベルからお願いします。以上、業務連絡でした。