【将棋】名人戦と挑戦者を決める順位戦のルール
現在、将棋には竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、叡王の八つのタイトルがあります。
なかでも「名人」は将棋界で一番長い歴史があるタイトルで、賞金額最高の竜王とともに別格として扱われているタイトルです。
日本将棋連盟が発行するアマチュア棋士向けの免状(段位で棋力を公認)には現名人、現竜王が自筆で署名されます。
関連記事
名人戦の概要
名人戦は年1回、現在の名人と順位戦(1年間のリーグ戦)と呼ばれる予選の最高成績者が七番勝負で対決。先に四勝したほうが名人位に就任します。
持ち時間が棋戦のなかで一番長く各9時間。2日がかりで行われる長丁場の対局です。
名人戦の棋譜(駒の動きの記録)が作品と表現されることがあるのは、現役最高の実力者二人が共同で長時間かけて芸術的な手筋を作り上げるという意味があり、持ち時間が長いルール的背景もあります。
名人位を通算で5期獲得することで永世名人を名乗る資格が得られ(襲位は引退後)、現役の有資格者は谷川浩司九段(十七世名人)、森内俊之九段(十八世名人)、羽生善治九段(十九世名人)の三名です。
挑戦者を決める順位戦
名人戦の挑戦者になるには、順位戦とよばれるリーグ戦で最高成績を収める必要があります。
順位戦は昨年の成績によってA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組のクラスに分けられ、1年間のリーグ戦が行われます。
最高クラスであるA級で最高成績を収めることで(名人を除くトップ棋士10名による総当たり戦)、名人への挑戦権が獲得できる仕組みです。
各クラスは1年間の成績によって数名づつ入れ替えが行われる仕組みで、新人の場合まずC級2組からスタート。
A級に上がるまで最速でも4年、名人への挑戦権獲得には最低でも5年かかります。
2020年の名人戦
現在の豊島将之名人はもう一つの最高峰のタイトル竜王も保持しており、現役棋士の頂点に立つ存在です。
2020年の名人戦は現時点(2020年7月29日)で七番勝負の第四局までが終了したところで、豊島名人の2勝、挑戦者渡辺明二冠の2勝で成績はタイになっています。
その今年の名人戦の挑戦者である渡辺明二冠に勝って、最年少タイトル記録(17歳11か月)を更新したのが藤井聡太棋聖。
藤井棋聖は現在順位戦でB級2組に所属しており順調に進めば2022年にA級入りが可能。谷川浩司九段が持つ最年少名人(21歳2か月)の記録が視野に入ります。
※史上最年少の名人挑戦記録は加藤一二三さんの20歳3か月で、藤井棋聖の更新は不可能です。
関連記事