消費者へ不利益の可能性
2019年9月26日、消費者庁は現在行われている携帯電話端末の販売の広告表示について、消費者が想定外の不利益を被る可能性があるとし注意喚起を公表しました。
問題となったのは「最大50%オフ」のような記載で、実際には半額以上の経済的負担が生じるケースがあり、消費者保護の観点から公表を行ったとのことです。
消費者庁の指摘を受けソフトバンクとauは、今後該当する広告表示の見直しを行う方針です。
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消費者庁が指摘した点
今回問題視されたのは、携帯電話事業者が指定した端末を分割払いで購入し半年後に返却すると、最大50%の残債を免除するという形式の端末購入補助プログラムです。
消費者が誤認するおそれがあるとして、消費者庁が問題視したのは大きく以下の四点。
- プログラム利用料がかかること
- 残債の免除を受けるために、端末の返却が必要であること
- 返却する端末が一定の条件を満たさない場合、別途支払が必要になること
- 回線契約なしでも利用できるが、一定期間SIMロックがかけられること
広告表示されている「50%オフ」(残債の免除)を受けるには、これら複数の条件を満たす必要があります。
これらのことから、消費者が実質半額の経済負担で端末を購入できるとは言い難いとの指摘をし、携帯電話事業者へ広告表示の改善がもとめられています。
これらのことから、消費者が実質半額の経済負担で端末を購入できるとは言い難いとの指摘をし、携帯電話事業者へ広告表示の改善がもとめられています。
ドコモのプランとの違い
今回消費者庁は事業者の名指しをしていませんが、「50%オフ」の広告表記をしていたのはソフトバンクとauの二社で、ドコモは今回の指摘を免れるかたちになっています。
これには総務省が進めている電気通信事業法の改正も背景にあります。
10月1日から一部改正される電気通信事業法では、携帯電話事業者の顧客が端末購入する際の補助は「上限2万円」のルールがあります。
ドコモが発表した新端末購入プラン「スマホおかえしプログラム」はこのルールに沿う形で、自社の回線契約向けプログラムとして構成されています。
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割引制限を避けるために
一方ソフトバンクは上記の制限を受けないよう、回線契約なしでも利用できるようにして「上限2万円」以上の補助を実施。
その代わりにいくつかの条件をつける形でプログラムを構成しました。これにauが追随するかたちで同様の端末購入プランを発表していました。
このいくつかの条件というのが複雑で、消費者に解りにくく誤解を招きかねないというのが今回の指摘です。
端末購入の考え方が変わる
10月1日から一部改正される電気通信事業法によって、今までのような定期通信契約(回線の2年契約など)を条件に、端末購入代金の大幅な割引は禁止になりました。
これは機種変更を割安で行える一方で、定期契約による囲い込み、機種変更をあまりしないユーザーが料金的に不利になるという不公平が問題視された結果です。
禁止になったことで当然ながら機種変更時にユーザーが支払う金額は上がることになり、携帯電話事業者は機種変更時に端末を下取りすることで負担の軽減を図っています。
ただ今後は携帯電話事業者から購入するだけではなく、AppleやGoogleなど公式サイトから直接SIMロフリー端末を購入する方法も、大きな選択肢のひとつになってきていきそうです。
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