総務省が「どんなときもWiFi」へ実施した行政指導の内容
総務省は2020年6月19日付けで、クラウドSIMを利用したモバイルWi-Fiサービス「どんなときもWiFi」を展開する株式会社グッド・ラックへ行政指導を行ったことを発表しました。
今回総務省が行政指導の理由として挙げたのは以下の点です。
- データ容量「無制限」をうたって販売していたが、相当数の利用者の通信速度を制限したことが判明した点
- 速度低下の解消を目的に月間25GBを上限に通信制限を実施した際、具体的な基準を利用者に示さず問合せがあっても一律に回答しなかった点
これらが電気通信事業法の「利用者利益の保護」の趣旨などに反するとして、今回の行政指導に繋がりました。
総務省公式サイト MVNOサービス「どんなときもWiFi」の利用者へのサービス提供に係る株式会社グッド・ラックに対する指導等へのリンク
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000321.html
クラウドSIMサービスのリスク
「どんなときもWiFi」ではクラウドSIMといわれる仕組みを利用して、データ容量無制限を前面に出してWi-Fiサービスを提供していました。
従来のWi-FiサービスとクラウドSIMを利用したサービスの大きな違いは、複数のSIMカードを複数のユーザーが共有して使用する点です。
クラウドSIMの形で運用する場合、通信会社がある程度の数のSIMをまとめ買いすることによって、利用者には料金面でのメリットが生まれます。
ただしデメリットとして、通信会社が用意しているSIMカード(データ容量)が充分でないと通信速度の低下のような障害に繋がる点が上げられます。
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「無制限」とは大きく異なる
「どんなときもWiFi」では準備していたデータ容量がひっ迫したことが要因で2月下旬ごろから通信速度が著しく低下するトラブルが発生しました。
元々無制限を前面にうたっているサービスでもあり、多くの苦情がグッド・ラックへ寄せられる状態になります。
グッド・ラックはこの状況を改善するため、データ使用量が多い利用者に対し月間25GB上限とする通信制限を実施。
3月下旬には相当数の利用者の通信速度を著しく制限していた事実が判明しています。
この大規模な通信制限が「無制限」という文言と著しく乖離している状態であること。
また通信制限の対応で利用者に具体的な基準を示さなかったこと(問い合わせに一律で回答しなかった対応)などが利用者利益の保護に反するとして、行政指導の対象になっています。
価格とデータ通信量のバランス
総務省は今回の行政指導でグッド・ラックに対し再発防止措置の実施及び実施状況の報告を求めています。
クラウドSIMを利用したモバイルWi-Fiサービスでは提供会社がSIMをまとめ買いするので、個人でSIMを契約するより価格的なメリットが生じるのは確かです。
ただ利用者が増えデータ通信量が増えると速度が低下する可能性(リスク)も増えるのは、個人が単一のSIMを利用する他の格安SIMサービスなどと違いはありません。
通信費を低く抑えるためにクラウドSIMサービスは有用ですが、こういったリスクもあることを抑えておいて上手く活用してください。
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