人間性を出して魅力的にする読書感想文の書き方

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読書感想文は自分語りがおもしろい

夏休みの宿題で非常に手間がかかるのが読書感想文。普段、まとまった文章を書く機会がほとんどがないのに、いきなり400字詰め原稿用紙に3枚とか絶望しかない。

「何でも好きなように書けばいいよ」とアドバイスされても、何を書けばいいのかわからない

本の簡単なあらすじなどを交えながら必死に話を膨らますのですが、無理やり引き延ばした文章は読みにくく、自分で読んでみてもなんだかまとまりのない文章に。

時間のかかる読書感想文をついつい後回しにしてしまい、結局、最後まで手つかずのまま、まっさらの原稿用紙が残ってしまうのはよくある話です。

本を読んで自分の考えを文章にまとめるといった作業は国語力を養う王道ですが、ただ文章を必死で長くするという作業は本来の目的から少し外れてしまいます。

それならその時間を使って、他の本をもう一冊読んだ方が、国語力を養う上でも精神衛生上もよっぽどいい。でも課題を提出しないと成績にひびくジレンマ。

よくある感想文

読書感想文を書くのが苦手なひとが勘違いしがちなのが、感想文なので感じたことを書かなければいけないという先入観です。

よくある読んだ本のあらすじを軽く紹介して、こういう点が面白かったという書き方。

シンデレラは血のつながりがない母や姉たちにいじめられながら日々を生活しており、それを不憫に思った支援者たち(魔法使いなど)から、お城の舞踏会へ参加する人生最大のチャンスを魔法で与えてもらえる。

ただしその魔法の力は午前零時に解けるというお役所仕事的な時間制限があるものでした。

それでもシンデレラは持ち前の器量と、ガラスの靴は脱いで忘れると魔法は解けないとうい特性を活用し、その千載一遇の機会を活かして、見事王子に見初められ王妃の座に上りつめるサクセスストーリーです。

わたしはシンデレラの深慮遠謀ともいえる壮大な計画、その聡明さと行動力に心から感心しました。

ここまで書いて約270字。400字づめ原稿用紙で半分ちょっと。Amazonの商品レビューなら充分な量ですが、読書感想文には少し足りない。

ここから文章の量が足りないのでさらに膨らませて長くようとしたときに、さきほどの「感じたことを書かなければいけない」という先入観が邪魔をします。

自分の感じたことは既に書いてしまっている。本のあらすじも書いてしまった。他に何を書いたらいいのかわからない。真面目な性格な人ほど、ここで詰まっていしまいます。

あらすじを膨らませてはいけない

ここで一番やってはいけないのは、あらすじを膨らませることです。

更にシンデレラの詳しい生い立ちや経緯、歴史的魔法使いの社会的地位や舞踏会の開催概要、周辺諸国との関係などを書いて文を長くすることはできます。

ですがそれは別にシンデレラの本を読めば済むことなので、感想文の意味がない。それにただ本の内容をなぞるだけの作業は書いていても面白くないし、他人が読んでもつまらない。

読書感想文は話の詳細を知りたいのではなく、その人の感性、パーソナリティを述べるのがメインです。膨らませるべきは本を読んだ人の感想の部分です。

ここでは”わたしはシンデレラの深慮遠謀ともいえる壮大な計画、その聡明さと行動力に心から感心しました。”の部分です。

感想は他人に縛られない

感想は最後の一文に集約されている。これ以上何を書けばいいのか。ポイントは感じたことだけはなく、そう考えるに至る経緯を書くことです。

本の内容を紹介するときにストーリーと違うことは書けません。「シンデレラは毒リンゴを食べて眠りました」と書くと、「それ白雪姫じゃね」と先生も冷静に突っ込まなければならなくなります。

でも個人の考え方なら「シンデレラは舞踏会へ行くと決心したとき、義母、義姉たちとの決別を覚悟したはず。シンデレラはある意味メタファー(比喩)としての毒リンゴに手をつけたのです。」と書いても、個人的な思考なので誰も否定できません。

先生も「なんか変なものにかぶれてるね」と言ってくれます。

大事なのは自分が何をどう思ったか文章で表現するのに、正解は本人しかわからない。本人がそう思ったならば、他人の判断が入り込む余地はありません

だから本当に、好きなように書けばいいんです。

真似ることも大切

本当に好きなように書けばいいんですが、それはそれで漠然としすぎていて途方にくれる。自由すぎて逆に書けないのも人情。

原稿用紙を前に何時間も悪戦苦闘するのも勉強ですが、せっかくの夏休みそんなことばかりもしてられない。隣町の公園にある他チームのジムも潰しに行かなきゃいけない。

とりあえず文章を書き始めないことには話にならないので、そんなときは他人のものを読んだり真似をすることから始めるのもひとつの手です。

読書感想文には決まったパターンがいくつか存在します。それを上手く利用しましょう。

その本をなぜ選んだのか

よくあるお決まりのパターンですが、それだけ書きやすいということです。文章の最初の書き出しも「私がこの本を選んだのは~」とすんなり始めやすい。

冒頭の一文さえ決まれば、けっこう筆は進んでいくものです。その本のどこに興味を持ったのか?表紙が綺麗だった、作者の名前を知っていた、有名な作品だった、薄くて読みやすそうだったでも構いません(短くても内容は濃かったというオチにも使えます)。

で、その本を選んだきっかけを書いておいて、実際に読んでみてどうだったのかというふうにさきほどの本編へと繋げることもできます。

私がこの本を読書感想文に選んだのは、家の本棚にたまたまあったからです。

夏休みの課題のためにわざわざお金を出して本を買うのも抵抗があったし、万が一その作品がつまらなかった場合、お金と時間の両方をドブに捨ててしまうリスク。

そんなことをあれこれ考え、なかなか課題に取り掛かれずにいると、庭にある勉強部屋に昼寝をしに行ったとき、たまたま本棚の片隅にこの本を見つけました。

時の洗礼を受けながらなお現代も残っている世界的に有名な作品ならば、つまらない本を掴まされて時間を無駄にするリスクもないだろうと考え、この大人から子供まで愛される「シンデレラ」という作品を選びました。

(280文字)

作中の台詞を引用する

作品の中に出てくる台詞を引用するのもよくある書き方です。まず主人公などの印象に残った台詞を挙げて、その台詞を言ったときの心情などを自分なりに読み解く。

そこから自分の考えなどを膨らませていくと文章がスムーズに繋がっていきます。

「私には舞踏会へ着ていくドレスも無いし、お城に向かうための馬車もないもの」とシンデレラが魔法使いのおばあさんに漏らした台詞があります。

思わず口に出たというよりは、なぜ舞踏会へ行けないのか原因を明確に述べており、文章が理路整然としていて具体的。ある意味シンデレラの思慮深さがうかがえるという台詞にも考えられます。

ただ世の中には、本人は全く意識していない(悪気もない)のですが、何気ない台詞で他人を催促するような結果を招くケースが多くあります。

近所の仲のいい女の子の幼馴染に「目指せ!甲子園!」と言われて、全国大会で優勝してしまうなどはよく聞く話です。

(274文字)

本の内容と現実をリンクさせる

読書感想文でメインとなるのがこの書き方です。本の中で起こった出来事を実際に自分にあった出来事とを繋げてみる。

シンデレラが義母たちに意地悪をされたとき、何を考えてどう行動したのか?自分なら意地悪された場合、どう対処する(した)のか?

自分は作中の主人公と同じように考えて同じように行動するだろうか、それともその場は素直に従ったふりをして後からSNSの鍵付きアカウントで悪口を言うのか。

ある事象に対するその人の行動というのは、心理テストで多用されるようにその人の人柄が表れやすいので読んでいて面白いものになっていきます。

同じ姉妹でありながら母からの扱いがまるで異なるシンデレラ。義姉たちは美しく着飾り舞踏会へ出かけるのに、なぜ自分だけ家で雑用を押し付けられこき使われなけれなならないのか。

シンデレラが義姉たちに対して持ったであろう、悔しさ、嫉妬、わずかに残る姉妹としての情などが複雑に混じりあった感情には強いシンパシーを感じます。

私にも出来のいい双子の弟がいて、強い兄弟愛と絆をお互いに感じています。ですがその一方で、隣に住む幼馴染の女の子に寄せる好意を巡って弟に対しても複雑な思いが。

小さい頃から成績優秀、運動神経万能。彼女の為に甲子園を目指し、野球部のエースにまで上り詰める弟。周囲からは常に弟と比較されつづける日々。

兄として自分の感情を抑え、一歩下がって振る舞うことが正しいと今までは信じてきたが、本当にこのままでみんな幸せになれるのか。

とりあえず友人のすすめで興味のないボクシングを始めてみたり、私のなかで悩みながら迷走する日々がつづいています。

(417文字)

長々と書いてしまいましたが、ある程度パターンを知ってさえおけば、文章を長くするのはそんなに難しい作業ではありません。文章を書くセンスとか関係ないです。

単にテンプレート的な書き方を「知っているか、知らないか」だけの差。単語の暗記と同じです。

肩の力を抜いて、自分のことを

感想文は感想だけを書くのではなく、その感想に繋がるもの(関連するもの)を何でも書いていき、その人の個性が垣間見れるほど面白いものになります。

その感想文を書いた人の人間性(パーソナリティー)が大事な要素になります。そういった内容が盛り込まれているほど読み手は楽しいし、その文章に惹きつけられます。

だいたい個人の感想(感性)を客観的評価なんて不可能なんですから書いたもん勝ち。国語の教師が評価できるのは、文法、誤字、脱字、原稿用紙の使い方と提出期限を守ったかくらいです。

肩の力を抜いて好きなことを書いてください。先生もネットでコピペして語句を入れ替えただけで、無理やり引き延ばしたような文章を読まされるより、ちょっと型破りでも独創性のある感想文の方が喜んでくれます。

あまり感想文に時間をかけすぎると、精神衛生上よくないですよ。感想文はサクッと仕上げて空いた時間に夏を舞台にした名作コミックでも読んで、夏休みを満喫してください。

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