純粋な処理能力の比較
スマートフォンの単純な処理性能を(サイズや使い勝手などを無視して)比較する場合、PCなど他のコンピューターと同様、CPUとRAMが大まかな目安になります。
Androidは複数のメーカーが販売しており数が多いですが、その端末が長く使えそうな高性能モデルなのか価格を抑えたコスパ重視の端末なのか、判断基準になるのがCPUとRAMです。
今回は主要なAndroid端末のCPUとRAMを比較してまとめます。
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RAMは机の広さ
コンピューターの頭脳にあたる部分のCPUはスマートフォンの性能に直結するイメージがしやすいですが、RAMの容量も端末の処理性能に大きく影響します。
コンピューターにあまり馴染みがないとRAMがどんなものなのかイメージしずらいかもしれませんが、よく例えられるのが机の広さ(作業スペース)です。
机が広い(RAM容量が大きい)とその広さの分だけ同時進行で複数の処理が行えるので、結果的にコンピューターの処理速度向上にも繋がります。
スマートフォンで複数のアプリを立ち上げると強制終了してしまうといった場合は、まずRAMの容量不足が原因として疑われます。
ただあくまで作業スペースが広くなるだけで、CPUの計算能力が上がるわけではありません。
それほどRAM容量を必要としない処理だと恩恵は少なく、容量が大きくなるのに比例して処理速度が速くなるといったものではないので注意してください。
基準となるPixel端末
現在Android端末の購入を考える場合、基準はGoogle Pixelになります。
GoogleはAndroid OSの開発に深く関わっており、Pixel以外のユーザーでもGoogleが提供するサービスの利用が前提になってきます。
またAndroid(OS)の最新機能などは、まずPixelから対応されることがほとんどです。
ハイエンドモデルを買って長く使うことを考える場合など、とりあえずGoogle Pixelシリーズ最新機のスペックを基準に機種選びをしておくと安心です。
現行Pixel端末のCPUとRAM
CPU | RAM | |
Google Pixel 3a | Snapdragon 670 | 4GB |
Google Pixel 3 | Snapdragon 845 | 4GB |
Google Pixel 4 | Snapdragon 855 | 6GB |
CPUごとにどの位の性能差があるか、各CPUを搭載したスマートフォンのベンチマーク結果を比較してみます。
ただしGoogle Pixel 4は発売前なので、同等スペックのXperia 1(海外アジア版 Snapdragon 855 6GB )のスコアを参考にしています。
CPU | RAM | スコア | |
Xperia 1(海外版) | Snapdragon 855 | 6GB | 264,670 |
Google Pixel 3 | Snapdragon 845 | 4GB | 219,563 |
Google Pixel 3a | Snapdragon 670 | 4GB | 161,979 |
PassMark公式WebサイトのAndroid CPU Mark Rating Updated 20th of October 2019より抜粋
※PassMarkはオーストラリアのソフトウェア開発を手掛ける会社で、PCやスマホなど様々なベンチマーク結果をウェブサイトで公開しています。
ベンチマークスコアの比較だとSnapdragon 670とSnapdragon 845で約35%、Snapdragon 845とSnapdragon 855で約20%のスコア差になっています。
2019年秋冬モデル
3大キャリアで販売が発表された、2019年秋冬モデルのAndroidスマートフォンのCPUとRAMをまとめます。
3大キャリアとも今回のハイエンドモデルは、Snapdragon 855搭載モデルをラインナップしています。
ドコモ
今回のハイエンドモデルはSnapdragon 855、RAM6GB以上を搭載。
2万円の価格が話題のGalaxy A20のCPU Exynos 7884Bは、Antutuなどのベンチマークスコアだと、Snapdragon 630くらいのスコアを記録しているCPUです。
価格は少し上がりますが、メモリが1GB多い分だけAQUOS sense3のほうがスペック的に優位です。
※ちなみにAQUOS sense3と同等スペック(Snapdragon 630、4GB)のMotorola moto g6 plusの上記PassMarkのスコアは112,310を記録しています。
CPU | RAM | |
Xperia 5 | Snapdragon 855 | 6GB |
Galaxy Note10+ | Snapdragon 855 | 12GB |
AQUOS zero2 | Snapdragon 855 | 8GB |
Galaxy A20 | Exynos 7884B | 3GB |
AQUOS sense3 | Snapdragon 630 | 4GB |
au
ハイエンドモデルではサムソンの二つ折りモデルも販売。Snapdragon 630のラインナップのなかにはXperia 8もあって、他社よりも選択肢がすこし豊富に。
AQUOS sense3 Plusは従来のAQUOSシリーズと同じく、sense3よりちょっと上のランクで動作に余裕を持たせたCPUとRAMを搭載しています。
CPU | RAM | |
Galaxy Fold | Snapdragon 855 | 12GB |
Xperia 5 | Snapdragon 855 | 6GB |
Galaxy Note10+ | Snapdragon 855 | 12GB |
AQUOS zero2 | Snapdragon 855 | 8GB |
Xperia 8 | Snapdragon 630 | 4GB |
AQUOS sense3 Plus | Snapdragon 636 | 6GB |
AQUOS sense3 | Snapdragon 630 | 4GB |
Galaxy A20 | Exynos 7884B | 3GB |
BASIO4 | MT6761 | 3GB |
ソフトバンク
ソフトバンクの秋冬モデルは他に比べると数が少ないですが、Google Pixel 4の販売が目を引きます。
日本では電波法の絡みで、レーダーを使ったジェスチャー操作の機能は2020年春まで制限されますが、3大キャリアのなかで唯一の販売になります。
CPU | RAM | |
Google Pixel 4 | Snapdragon 855 | 6GB |
Xperia 5 | Snapdragon 855 | 6GB |
LG G8X ThinQ | Snapdragon 855 | 6GB |
AQUOS sense3 Plus | Snapdragon 636 | 6GB |
AQUOS zero2 | Snapdragon 855 | 8GB |
目的に合わせて
最新CPUを搭載している端末は、3Dグラフィックスを使ったゲームや動画編集などの重たい作業の軽量化、高性能CPUを使った画像処理によるカメラの画質向上などの恩恵があります。
ただそういった重たい作業をあまり必要としないユーザーならば、Google Pixel 4のSnapdragon 855、6GBというスペックは、普段使いにはややオーバースペック気味です。
最近はスマートフォン全体の性能も上がっておりSnapdragon 630クラスの端末でも電話、WEB閲覧、SNSや動画視聴、スマホ決済など普段使いなら充分の性能があります。
CPUが高性能になると消費電力も上がる傾向があるので、バッテリー持ちなどを重視するなら一概に最新機種がいいとは言えない面もあります。
今年売れたAndroidのGoogle Pixel 3aはそのあたりコストパフォーマンスのバランスを上手くついた端末です。
スマートフォンは単純な処理能力の比較で測れない部分も多いので、自分が必要としている機能を明確にして、上手く選んでください。
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