渋谷区のLINEによる住民票交付申請を総務省が問題視した理由
総務省は渋谷区が開始したLINEアプリによる住民票交付申請を、セキュリティ上、法令上の両面で問題があるとして、改善を促していくことを総務大臣の定例記者会見で示しました。
これを受け渋谷区は公式サイトにおいて、改ざんやなりすましなどのリスクは低く法令上も問題ないとの考えを発表しています。
今回、争点になっているのは、渋谷区の利用しているLINE申請の仕組みが電子署名を用いていない点です。
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総務省が問題視している点
総務省が渋谷区の申請方法で問題視しているのは、インターネットなどを利用したオンライン申請において電子署名を用いていない点です。
オンライン(インターネット)で住民票など公的な証明書の交付を申請する場合、原則として電子署名が必要とする規定があります。
電子署名を利用するには一定の手続きが必要(マイナンバーカード申請など)で、その手続きによって本人確認の信頼性が担保されています。
渋谷区が開始したLINEによる住民票の交付申請では電子署名が必要ないので、セキュリティ上も問題があるとの指摘です。
渋谷区の見解
指摘を受けた渋谷区は公式サイトでこの指摘に対する見解を公表しています。
渋谷区公式サイト 総務大臣コメントに対する渋谷区の見解につきまして
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/koho/hodo/message020403.html
渋谷区の主張としては本人の写真と写真付きの身分証明書の送信が必要になっており、充分な本人確認を実施しているので安全性は確保している。
電子署名の規定はあるが、付則に「各自治体の指定する方法により、その申請を行った者を確認するための措置を講ずる場合はその限りではない」とあり、法的にも問題ないと考えるとしています。
利便性と安全性のバランス
渋谷区は今回発表した見解のなかで「今回の取り組みはマイナンバーカードの普及を阻害するものではない」と言及。
渋谷区としてはオンライン申請の利便性を認知してもらうことが、マイナンバーカードの普及にも繋がるとの考えを示しました。
マイナンバーカードには電子署名の仕組みがあり、現在はコンビニなどでも簡単に住民票の交付ができます。
ただ発行に時間が一か月ほどかかることもあり、あまり普及が進んでいない状況です。
一方でLINEだと手軽に申請はできるのですが、手続きが簡易になる分セキュリティ面では注意が必要になります。
SNSなので偽アカウントや誤送信などの注意も必要です。
ユーザーがバランスを考える
セキュリティ対策と使い勝手のよさは相反するので、利便性を高めると安全性が低くなるのは避けられません。
紙のノートにパスワードを書きとめるのは面倒ですが、ネットに繋がっていない分セキュリティが高くなるのと同じです。
結局は利用するユーザーが、そのバランスをどう考えるかが重要になってきます。
携帯電話の契約や決済アプリの登録など、最近は身分証明書などをオンラインで送信することが一般的になってきましたが、セキュリティの面では充分注意して行ってください。
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